ペコちゃん金融

英語・金融の資格試験の受験記録と金融業界の動向についてのコラムを書いています。英語資格は国連英検特A級(2019年8月)、英検1級(2018年6月、東京都上位1%)、TOEIC 990を取得済(2015年10月)。金融はCMA、CIIA、CFA Level Iに合格し、現在2021年5月のCFA Level IIの結果待ち中です。金融業界の分析についてはこれから始めるところですが、投資銀行を中心にメディアの情報を拾い、自分なりの考えをコラム形式で書いていこうと考えています。

CFA UK - Certificate in ESG Investing 受験記

Certificate in ESG Investing

CFA受験の一環で、英国CFA協会が実施するCertificate in ESG Investingという資格を取得しました。元々英国だけで実施されており、今年度になって国外の受験者もオンラインで受験することができるようになった比較的新しい資格です。資格試験の運用開始は2019年10月1日で、まだ2年度目のとても新しい資格です。日本人受験者もまだ少なく、情報量が限られた試験ですので、関心を持たれている皆さんの助力になればと思い、申込から受験までの経緯を書いておきます。

www.cfauk.org

1. 試験の概要

試験の構成は非常に明快で、4択の問題100問に140分の試験時間で解答し、60-70%の正答を得ることで合格となります。構成は1問1答式の問題70-80問と4-6問から成るアイテムセット4-6点となっています。計算問題は全くありません。試験のカリキュラムは9分野で構成されており、それぞれに出題の分量が決まっています。カリキュラムの構成と想定出題数は1. Introduction to ESG 4-8問、2. The ESG market 4-8問、3. Environmental factors 6-12問、4. Social factors 6-12問、5. Governance factors 6-12問、6. Engagement and stewardship 6-10問、7. ESG analysis, valuatin and integration 20-32問、8. ESG integrated portfolio construction and management 8-14問、9. Investment manadates, portfolio analysis and client reporting 4-8問となっています。試験は実地とオンラインが選択できますが、英国外の受験者は基本的にオンラインを選択することになります。

 

2. 学習時間

協会の推奨学習時間は130時間ですが、合格者の推奨学習時間は100時間で、協会も100時間で足りるとの受験者の見解を正式にウェブサイト上で公開しています。合格率は60-75%とされていますので、合格者の推奨学習時間に合わせても問題なく合格できるように思います。協会の推奨学習時間に合わせたとしても、1日平均2時間強の学習時間を2か月継続すれば到達するので、CFAの本試験に比べると学習時間は少なく済むことになります。

 

3. 教材

教材は申込と同時にシラバス、テキスト、模擬試験(Specimen Paper)が協会のウェブサイトからダウンロード可能になります。申込料は試験料込で£485で、別途紙のテキストを£40+送料£45の合計£85で購入することができます。紙のテキストはダウンロードできる電子ファイルと同一ですが、書き込みと見直しの容易さを勘案して購入しました。ダウンロードしたテキストをプリントアウトして管理する手間を勘案すると、購入しておいて良かったと感じています。あいにく教材はCFA協会の発行する資料以外には現状存在していないため、専ら協会の教材に基づいて学習することになります。

尚、カリキュラムは毎年10月1日付で更新され、更新日より少し前に次年度の教材のダウンロードが可能になります。2021年度(Edition 3)のシラバスは、2020年7月19日時点で公開されていました。2021年度以降のESG試験の運営は、英国CFA協会から米国CFA協会に移管されるとのことです。

 

4. 試験対策

試験対策に使用できる教材はCFA協会の提供するテキストとその章末問題135問(9章x15問)、模擬試験1冊(100問)の合計235問分の問題しかありませんので、テキストの通読と問題の解答を繰り返すのが唯一の対策方法となります。章末問題はテキストの理解度チェックを目的としていて試験問題とは整合していませんので、2-3回解いて9割近くの正答を得られるようになったら、テキスト本文の通読と模擬試験に集中した方が良いように思います。模擬試験は本番とほぼ同一の構成となっており、難度もかなり似せてあります。テキストの理解と章末問題の解答がある程度進んだら、本番を想定して時間を計る形で模擬試験に取り組まれると良いと思います。

自分の場合は、初回に解いた章末問題の正答率が62.2%、模擬試験の正答率が58%でした。試験の合格点が60-70%と記載されていたので焦りましたが、テキストを読み直し、章末問題と模擬試験を解き直すことで、ある程度知識が定着したことを確認できました。2回目の正答率は章末問題が82.2%、模擬試験が86%でした。模擬試験は各年度の教材に1冊付いており、2019年度のEdition 1、2020年度のEdition 2が取得できたのですが、それぞれがほとんど同じ内容で、実際に利用できる模擬試験は1冊と考えた方が良さそうです。

 

5. 試験本番

英国外の受験者はオンラインが前提のため、OnVUEという試験運営システムに登録してガイダンスに従う必要があります。CFA協会のウェブサイトとは別にOnVUEに登録を行い、試験日程を設定すると、試験で使用する予定のPCから本番のアクセスが可能かをテストするウェブサイトが案内されます。案内に従ってインターネット、マイク、カメラ等が問題なく稼働するかを事前に確認します。自宅のWiFiはそれほど強くないのですが、自室からノートPCを用いてアクセスする形で問題なくテストをクリアすることができました。試験日程は日本時間でも問題なく設定できるよう、午後早くから15分刻みで枠が提供されており、日程の設定に関する不便は全く感じませんでした。

試験当日は開始時刻の30分前にOnVUEのシステムにアクセスすることがメールで求められ、メール上のリンクを通じてシステムにログインします。ログインすると携帯電話番号を入力する画面が登場し、入力すると携帯電話にSMSで受験環境を確認するためのウェブサイトのリンクが送付されます。ログインすると自分の顔写真とID(パスポート)、PCの前後左右の写真を撮影することを求めるウェブサイトに飛び、それぞれを撮影するとPC上で次に進むことができる状態になります。次に進むと試験監督とつながり、チャットでPCを周回させて周囲に疑わしいアイテムがないかをカメラで示すよう求められます。机を完全にクリーンにし、テキスト等に加えてイヤホンや携帯電話等へのアクセスがないことが確認されます。全てがクリアされていることが確認されると、試験監督が試験開始を許可し、PC上で試験開始のアイコンを押すことが可能になります。試験開始ボタンを押すと、その時点で試験を開始することが可能になります。受験環境のチェックにそれほど時間はかかりませんので、30分前にログインしてから10分以内には試験を開始することが可能になります。

本番の試験は模擬試験と同じか若干難しいという印象でした。CFAの本試験はMock Examの方が本番より難しい印象ですが、そういった差異はESGには見られなかったため、章末問題と模擬試験で高い得点を取れるようにしておくことが重要だと感じました(協会の推奨は模擬試験で75-80%の正答率の確保)。前半は特に難しく感じ、時間も足りなくなるのではないかと焦りました。前半の50問に68分程度を消費したため、後半はかなり集中しないと間に合わないと感じましたが、後半は時間のかかるアイテムセットが前半の3点に対して2点しかなく、模擬試験と同一の1問1答問題も複数見られたことから、55分程度で解答できました。全体として15分以上残すことができたので、時間管理は結果的に特段問題ありませんでした。

試験時間が終わると試験終了の確認ボタンを押すことが求められ、押すと数秒の計算時間を経てすぐにpass/failの画面が登場しました。この時点での合否は暫定のため、Provisional Resultという形でpassが表示されました。ガイダンスにあった通り、合格の場合は全体・個別セクションの正答率は表示されないとのことで、pass以外の情報は得られませんでした。failの場合は、全体として何%合格に足りなかったか(Overall Weakness)、合格レベルに達しなかったセクションが基準に何%足りなかったか(Areas of Weakness)が示されるとのことです。Areas of WeaknessはSlight(1-5%)、Moderate(6-15%)、Severe(More than 15%)に分類され、かなり詳細に得点の水準を知ることができる仕組みになっているようです。

試験の結果は終了直後に画面に表示された後、OnVUEを運営するPearson Vueから結果を確認できるウェブサイトのリンクが掲載されたEメールを受領しました。内容は試験終了直後に受験用のスクリーンに登場したものと同様で、Provisional Result: passという通知だけが掲載されていました。今後は3営業日以内に英国CFA協会上の個人ページでProvisional Resultが確認できるようになり、21日以内にProvisionalでない正式な結果通知が郵送で届けられるとのことです。Provisional ResultからOfficial Resultへの移行においてpass/failの変更が行われることは、試験の素点に関してはなさそうです。passからfailへの変更があるとすると、録画された試験時間中の取り組み姿勢の中で怪しい動きがあったり、提出したID、受験環境の写真に不正があったりといった受験姿勢の問題に成るのではないかと思います。

CFA Level I 受験記

2020年12月のCFA Level Iの試験に合格しました。2021年5月のLevel II 試験に向けた勉強をこれから開始しますが、その前にLevel Iの体験記を書いておきます。これからLevel Iを受験される皆さんのお役に立てば大変嬉しく思います。

 

1. TAC CFA講座 受講(6〜7月)

TACのCFA講座をオンラインで受講したので、開講した6月から学習を開始しました。講座にはSchweserのテキストとTACの日本語版サブテキストが付いていて、講義はサブテキストをベースに適宜Schweserを参照するという形で進められました。講座は1回当たり2時間半程度の講義を26回受講する構成で、2日に1回のペースでiPhoneを通じて受講し、約2か月で全講義の受講を完了しました。日本語ベースということで話は聞きやすかったですが、最終的にはScheweserのテキストを自分で読んで英語での理解に落とし込むことが必要だったため、受講時間65時間が若干勿体無かったように思います。CFAの問題構成や関数電卓の使い方などを解説してもらえたことは初学者としてとてもありがたかったですが、その他の時間を日本語の講義に費やしたことは、後でSchweserを全て自分で読み返したことを考えると二度手間になったと感じました。もちろんTACの講座がうまくはまって勉強を効率化できたという方もいらっしゃったので、個人差はあると思います。

 

2. Schweser Notes 精読(8〜9月)

TACの講座を全て受講後、合格者のブログ記事を参考にSchweser Notesの精読と章末問題の解答を始めました。Schweser NotesはTACの講座申込時に冊子が付いてきますが、Schweserのオンラインツールのアクセス権はありません。Schweserのツールをフル活用したい方は、TACの講座申込時にSchweser不要の旨を伝えて該当分の割引を受け、別途自分でSchweserのウェブサイトから教材パッケージを購入することが必要です。自分はこの点を知らずに申し込んでしまったので、受講開始後に後悔しました。Scheweser NoteはCFA協会のテキストをコンパクトにまとめたものですが、それでも科目数が多いので分量が多く、読んで問題を解くのに時間を要しました。2か月間で2-3回転するという目標を持っていましたが、英語であることと分量が多いことで進度はかなり遅くなり、結局2か月で1回転するのがやっとでした。9科目あったので、平均的な進度は1週間で1科目分強読めたという程度でした。それでも英語で内容を理解して問題を解いてという作業はTACの講座を受講していた期間よりも理解度増進に役立ち、この2か月で全体像を上手く把握できたようには思いました。章末問題もテキストの精読後にすぐ解いたので解法に関する記憶もあり、ある程度解けているように感じました(実際の正答率は6〜7割)。

 

3. Schweser Practice Exam 解答(10〜11月)

Scheweser NotesにはPractice Examと呼ばれる4回分の模試が含まれているので、試験前に繰り返せば合格に近づくと思い、利用しました。2か月を使って何度か繰り返したいと思っていましたが、思った以上に解答と問題の復習にかかる負荷が大きく、実際は1回転しかできませんでした。試験は午前3時間、午後3時間の合計6時間分あり、間違えた問題について解答と同じぐらいの時間をかけて解説を読んだため、週末の1日を使ってできた分量が一つの試験の午前か午後のパートのどちらかという結果でした。時間が十分に取れたときは午前・午後とも解答できましたが、復習は別の日に持ち越す形になりました。思った以上に問題が難しく、分量も午前・午後のそれぞれで120問ずつと多いので、かなり疲弊しました。家族に頼んで週末2日のうち1日を勉強に充てさせてもらったりしましたが、それを8週間続けて4試験 x 午前・午後 / 8週でようやく1回転という内容でした。Practice Examを2か月かけて何とか一周したものの、正答率は5割前後と非常に低く、本試験がとても不安になりました。最初に解答した試験の正答率が5割弱だったので、次にはもっと良くなるはずと受けていったのですが、結局最後まで6割を超えることさえできませんでした。合格率4割以上の3択マーク式の試験なのに、合格ラインとされる7割に2割も届かないという現実を認識し、絶望的な気持ちになりました。

 

4. CFA協会 Mock Exam 解答通読(試験直前)

11月末までに何とかSchweserのPractice Examを完了させましたが、6割にも満たない正答率に不安を持っていたので、試験当日の12月5日(土)前の2営業日で有給休暇を取り、CFA協会上のアカウントで取得できるMock Exam 2回分の解答を通読しました。本来はこちらも解答すべきだったのですが、物理的に間に合わないと感じたことと、試験直前に疲弊したくないということを理由に、解答を見ながら真似して解いてみるという作業を行いました。Mock ExamはSchweserのPractice Examよりも難しく感じ、これまでのPractice Examの解答では不十分だったかもしれない、と一層不安になりました。とはいえ試験が目前に迫っていて、6時間の長丁場を元気に乗り切る必要があると感じていたので、決めていたところまでを通読したら勉強を止め、翌日に備えて早く就寝しました。本来はMock Exam 3回分全てに目を通しておくべきだったので、スケジュールをあと1週間だけでも前倒しにしておければと悔やみました。言語、テキストの違いから互換性が低いと感じたTACでの長時間の受講を特に後悔しました。

 

5. 試験本番(2020年12月5日(土))

試験は東京ビッグサイトで9時から行われ、受付開始時刻は8時半でした。有明ということで距離があったので、自宅を早めに出るようにしました。開場前に到着するとやはり既に長蛇の列で、受付時間も考慮に入れて行動すべきと感じました。昼食は席で取っても良いと事前の案内に記載されていたので、自宅近くのコンビニでパンなどを買って持ち込みました。東京ビッグサイトではコンビニやカフェが週末でも全て営業しており、実際には予め買っておかなくてもランチに困ることはなかったようです。試験は受付に時間を要したものの、数分の遅延のみで開始され、試験時間は午前・午後とも中断等の問題はなく運営されました。試験に来ていたのは全体の6-7割ぐらいというところでしたが、コロナの影響下だったので通常の試験と出席率がどの程度違ったのかは分かりません。試験勉強に脱落した欠席者が多いほど受験者全体の成績が上がり、合格率が低下するという想定をしていたので、出席率が低く見えたことはネガティブに感じました。実際の試験はPractice ExamやMock Examよりも平易な問題で構成されており、若干肩透かしを喰らったと感じつつも、各模試の悪い成績を勘案してとても安心しました。この問題で合格点7割、合格率4割強なら納得だという内容でした。Practice Examは民間業者の問題であり、TACの講師からも本番より難しいと聞いていたので、難易度の乖離はあり得ると考えていましたが、CFA協会が作成したMock Examよりも簡単だったことには驚きました。時間もPractice ExamやMock Examと異なり、午前・午後とも20分ずつ余らせることができたので、見直しをするには十分でした。本試験がMock Examのレベルの問題であれば何度やっても受からないなと感じながら試験会場に向かったので、諦めずに受けて本当に良かったと思いました。

 

6. 試験結果(2021年1月29日(木))

試験結果は2か月程度で開示されると言われていたので、ソワソワしつつも、試験準備中は手を付けられなかった他のことに時間を使いながら待っていました。発表日の1週間前にメールで結果発表日時の連絡があり、それまでに通知用Eメールの変更が必要な場合は行っておくようにとの記載がありました。1月29日(木)のニューヨーク時間午前9時(日本時間午後11時)に登録先のメールアドレス宛に試験結果が直接送付されるという内容でしたが、実際にはそれよりも早く送付されると受験経験者に聞いていたので、当日は日本時間の午後8時頃からかなりソワソワして待っていました。予告通知時刻の1時間前に当たる22時になっても連絡が来なかったので、一旦諦めてコンビニに買い物に行きましたが、その帰り道で10時25分頃にメールを受信し、開けると1行目にCongratulations!の文字が書かれていました。かなり分かりやすく書かれていたのですぐに目に飛び込んで来て、メールを開いた瞬間から喜んでいました。合格率もメール上に記載されており、49%とのことでした。

 

帰宅後にメール上のリンクから試験結果の詳細を確認しました。結果は当然ながら合格点と考えられる7割を超えていましたが、Alternative Investments & Derivatives、Corporate Finance、Economics、Equity Investments、Portfolio Managementが7割を超えていた一方で、Ethical & Professional Standards、Fixed Income Investments、Financial Reporting & Analysis、Quantitative Methodsが7割を下回っていました。7割を超えていた科目の超過幅がとても大きかった一方で7割を下回った科目は6割程度以上取れていたので、合計点が7割を超える結果になったようです。具体的な数値が分からないよう、レビューシートは図のみで構成されていました。詳細の把握には限界がありますが、受験者上位10%の得点と上位49%に相当する合格点のちょうど真ん中に自分の得点が位置していたので、上位30%程度での合格だったのではないかと思います。勉強開始時点では全科目7割以上の正答率で合格したいという願望があったのですが、途中Practice Examで6割も取れずに諦めかけたことを考えると、上出来だったと思います。

 

Level II、Level IIIはLevel Iと比較にならないほど難しいので、Level Iで落ちているようではその後の合格は難しいと書いてあるブログもあり、受験前はかなり心配していました。実際に今回受験して、本試験とPractice Exam、Mock Examの性質は根本的に異なることを理解できたので、かなり気が楽になりました。とはいえLevel IIがLevel Iより相当難しくなることは間違いないので、気を引き締めていこうと思います。

国際公認投資アナリスト(CIIA)対策 〜第2単位〜

FORMULAE(公式集)

 

国際公認投資アナリスト(CIIA)第2単位の対策について書きます。第2単位は第1単位と180度異なり、計算問題が非常に多い試験内容となっています。債券分析、デリバティブ分析、ポートフォリオ・マネジメントと、計算なしでは回答できない問題がほとんどです。一方で計算問題には一定のパターンがあり、過去問を複数解いていれば大体解答できるようになる構成ともなっています。問題の傾向を把握し、公式と解答プロセスを理解していれば、どんな問題が出てもある程度は解答できるようになると思います。但し、問題の量に対して解答時間が限定的となっていますので、早く正確に解答できるよう、過去問の繰り返しと関数電卓の使用方法の習熟はされておいた方が良いと思います。

 

1. 債券分析(30%)

債券分析は計算問題が大多数を占めるため、大問が対象とする分野の計算方法が分からないとかなり点数が低くなる恐れがあります。しかしながら、計算自体は特段難しくないので、各問題パターンに対する準備さえしておけば問題はないセクションでもあります。大問の種類としては、デュレーションとコンベクシティの計算、債券のスポットレート・フォワードレート・最終利回り等の計算、コーラブル債・転換社債ワラント債等の計算と論述等が多く出題されます。問題のパターンとしては、表の上で空欄になっているデュレーションや利回り等を個別に計算して穴埋めする問題や、コーラブル債の価格と利回りを計算して投資すべき銘柄を選定する問題、債券のイールドカーブが1年後に現在から平行移動した場合の債券のスポットレート・フォワードレート・利回り等を求める問題等が出題されます。計算プロセス自体は単純と言えるものの、各項目の意味と関係性を理解し、与えられた数値から必要な数値を導き出すための地道なプロセスを踏む必要があります。とは言え問題の形式はある程度定型化されていますので、過去問の解答を続けてある程度のパターンを知っておけば、比較的容易に解答できると思います。

 

2. デリバティブ分析(30%)

デリバティブ分析は最も時間を要するパートですが、問題のパターンは債券分析と同様に比較的限られているため、過去問を通じて解答方法を複数理解しておけば意外に解答できるパートです。オプションの価格について、プット・コールパリティの式を用いて割安割高を判断し、アービトラージを取る売買戦略を図と式で説明する問題、先物によるダイナミックヘッジの計算と論述、スワップ取引の計算等が出題されます。最初はかなりとっつきにくいのですが、過去問を数年分解くと定型化された問題が多いことが分かってきます。数字やプラスマイナスの違いがあること以外は相当似通っている問題もありますので、過去問を複数年分 x 2-3回転すれば、解答パターンが頭に定着してくると思います。オプションを用いた戦略の種類やプット・コールパリティなどの基本的な公式は、本番の解答時間を極力短縮できるよう『論点の整理』と公式集を用いて予め頭に入れておくと良いと思います。

 

3. ポートフォリオ・マネジメント(40%)

ポートフォリオ・マネジメントは、最も配点が多いことに加えて最も論述が多いパートです。第2単位全体として計算問題の結果に自信がない解答になったとしても、ここで部分点を稼いで合格に近づけることができると思います。問題としてはアセット・アロケーション戦略やパフォーマンス要因分析などが頻出で、共分散、標準偏差などのリスク計算や加重平均利回りの計算、正規分布表を用いたテールリスクの計算などが出題されます。リスク・リターン、統計に関する基本的な計算問題に習熟しておけば基本的には問題ないですが、文章を書かせる問題はパターンが定型でないため、過去問の模範解答を複数見て論述のパターンをある程度頭にインプットしておいた方が良いと思います。同じ問題は二度と出ませんが、どういった形で文章を構成すれば良いか分かる点で参考になります。

 

以上が第2単位の対策法です。主要問題に関して必要な公式と計算プロセスを覚え、公式集を見なくてもある程度再現できるようにしておくことで、短時間で合格点を取れるようになると思います。論述は毎回内容が異なるため確実に解答することは難しいですが、部分点を取りやすいパートになっていると思いますし、基本的な方向性(上昇・下落、増加・減少など)さえ間違わなければ得点源にできると思います。

 

以上でCIIAの対策法に関する投稿を終わります。CIIAは受験者が少なく、持っていることの価値を見出しにくいかもしれませんが、問題の質は全体として非常に良く勉強になりますし、非米国圏の国際資格として広く通用することから、CMAよりも一段高い保有意義を見出せると思います。保有者数は遂に1万人に達しようとしており、資格試験としての汎用性も上がっていると思いますので、より多くのCMA合格者の方が挑戦されることを祈っています。

国際公認投資アナリスト(CIIA)対策 ~第1単位~

CIIA学習教材|日本証券アナリスト協会

 

国際公認アナリスト(CIIA)試験の第1単位の対策方法について書きます。第1単位は経済、財務分析、コーポレート・ファイナンス、株式分析で構成されており、第2単位と違って特に複雑な計算が求められない内容となっています。銀行や証券会社の投資銀行部門等に勤務していれば馴染みの深い内容となっており、対策がしやすいと言えると思います。反対にトレーディングや商品セールスなどのマーケット部門にいる受験者は理解に少々時間を要するかもしれません。

 

解答時間は第1単位も第2単位も3時間で変わりませんが、第1単位は財務分析で個別項目の金額を計算する過程が時間を要するため、全設問を順調に進められても完了するのは3時間ギリギリになるのではないかと思います。自分の場合は時間に余裕がなく、財務分析の計算過程を示す箇所を全て飛ばし、解答となる数値だけを記載して何とか全設問の解答を時間内に収めました。解答時間を極力短縮するためにも、基本的な公式は試験時に配布される公式集「Formulae」を見なくても使えるようにしておくことが望ましいです。また、コーポレート・ファイナンスで算出する企業価値などの計算過程については、関数電卓の使用方法を過去問演習で覚えて使用されると解答時価が短縮できると思います。

 

下記に項目別の出題傾向と対策方法をご紹介します。

 

1. 経済(20%)

計算問題が出題されないことが予め決まっていますので、基本的な概念の理解ができていれば解答でき、多少論述の方向性が違っても部分点がもらえると思います。概念や作図方法を把握しておけば、ある程度の得点源にできると思います。内容はとてもベーシックで、IS-LM分析、AD-AS分析、為替レートの決定要因(購買力平価金利平価)といった根本的な概念を問う問題が多く出題されます。中央銀行が金融政策を実施した場合などに図の曲線がどのようにシフトするかといった問題を図と文で回答させる問題が多いので、論点を「要点の整理」などで把握しておくと良いと思います。CIIA受験者は全員がCMAに合格していますので、その範囲の知識で十分対応でき、それ以上の複雑な項目の理解は必要ないと思います。とはいえ、自分はCMAに合格してから随分時間が経っていましたので、「要点の整理」を繰り返し読んで何とか記憶をキャッチアップさせました。記憶が薄れている方は「要点の整理」を繰り返し読んだり、過去問を繰り返されたりすると良いと思います。

 

2. 財務分析(30%)

財務諸表の穴埋めを行う問題が頻出となっています。特にP/LとB/SからC/Fを作成する問題、企業結合(連結財務諸表の作成とのれんの計算)などが多く出ており、普段財務諸表を使われない方や、使っていてもP/LとB/Sだけを用いて仕事をしている方は復習が必要になると思います。問題が各回で大きく異なるため、具体的な対策は立てづらいですが、過去問に多数当たることで主要な解答プロセスはカバーできると思います。試験問題は広範囲にわたっていて常に初見の問題となる傾向があることから、過去問を一発で解答することは難しいと思います。無理に過去問に解答しようとせず、模範解答を読んで「こういった問題が出た場合はこう解く」といった傾向を掴んでおけば、それだけでも本番での対応力を増加させると思います。

 

3. コーポレート・ファイナンス(20%)

フリーキャッシュフローの計算、WACC(加重平均資本コスト)の計算、割引キャッシュフロー(DCF)法による企業価値の計算、NPV方式による投資案件の採否の判断などが出題されます。総合的に見れば「キャッシュフローを算出して割り引く」という作業一点を様々なツールを用いて行うだけの内容になりますので、算出に際して必要となる公式を押さえておけば、特に問題なく解答できると思います。①フリーキャッシュフローの算出方法(Terminal Valueを含む)、②割引率の算出方法(レバード/アンレバード・ベータ、CAPM、WACC)が頭に入っていれば、どのような問題が来ても問題なく解答できると思います。

 

4. 株式分析(30%)

配当割引モデル(DDM)を用いて株式の理論価格や理論的な株価収益率(PER)を計算する問題が多く出題されます。特にDDMを用いて算出した理論株価と現在の株価を比較して割安・割高を判断し、購入すべきか解答するという問題が頻出になっています。DDMを用いて理論株価を算出できることがこの項目における必須能力で、これができれば多くの問題に解答できるようになっています。当期純利益、配当性向、成長率、要求収益率といった配当割引モデルの構成要素の算出方法と論理展開方法を「要点の整理」と過去問を通じて覚えられると良いと思います。計算は非常に簡素ですので計算間違いによる失点リスクも低く、得点源にしやすいと思います。DDMの他では、残余利益やフリーキャッシュフローを用いた株価評価に関する問題も増えているようです。

 

以上が項目別の第1単位対策法です。理解を問う論述問題が多く、複雑な計算を要する問題は少ないので、計算ミスで問題を落とすことは少ない単元だと思います。「要点の整理」と過去問を用いて要点を理解し、試験で解答できるよう基本的な公式を覚え、過去問をなぞる形で計算しながら解答プロセスを追うのが良いと思います。過去問の模範解答は非常に長い論述が展開されていますが、本番の解答用紙にはそれを全て埋めるほどのスペースはありませんし、解答時間も限られていますので、要点だけ押さえて簡潔に解答できるようにしておけば良いと思います。難しい概念や数式は含まれていませんので、基本的な公式の把握とそれを用いた過去問演習を繰り返せば、高い得点を得られるようになるはずです。

 

次回は第2単位の対策法について書きます。

国際公認投資アナリスト(CIIA)受験記録 〜試験対策全般〜

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国際公認投資アナリスト(CIIA)の試験対策について書いていきます。

 

CIIAは各国の証券アナリスト資格を取得した人が共通の試験を受け、世界的に均一な水準で証券アナリストの能力を有していることを確認するための試験です。所属国のアナリスト資格を国際的に追認する意図があり、受験者を厳しく審査して振り落とす前提では試験が構成されていません。特に近年の合格率は非常に高く、2017年以降は第1単位、第2単位とも合格率が50%を超えています。合格率だけを見ると簡単な試験に見えてしまいますが、実際の問題は日本の証券アナリスト試験(CMA)よりもずっと難しく、CMAを受けた延長でそのまま受験すると落ちてしまうと思います。実際、自分も時間がない中で間に合わせの準備をして受験したときに落ちてしまいました。合格率が高いのは合格点が低く設定してあるからだと思いますが、合格点に達するためにはある程度体系的な学習が必要です。

 

2017年の合格者アンケートでは50-200時間の勉強時間が最も多くなっています。自分自身もこのレンジに属しており、200時間とは行かないまでも100時間は勉強しました。勉強は主に業務後に職場近くのカフェで行い、閉店となる22時まで机に向かいました。19時に退社できた日は3時間、21時までかかった場合は1時間という形で、主に平日の空き時間を勉強に充てました。CIIAの試験日は受験者の減少から現在は年1回、3月上旬に行われています。そのスケジュールを見越して、12月の試験申込の後約2か月半を使って勉強しました。週末を学習にあてられる方は同じ日程で200時間の学習時間を確保することができると思います。また、6か月前などの早いタイミングから学習を開始されていれば、余裕を持って試験に臨めると思います。

 

CIIA 試験アンケート結果

 

日本の合格率(%)

日本の受験者(人)

世界の合格率(%)

日本の受験者(人)

出典: 日本証券アナリスト協会HP

 

学習内容は過去問の解答と『要点の整理』という薄い冊子の通読が主でした。あいにくCIIAには対応するテキストがないため、過去問が主な学習ツールになると思います。ただ、問題と解答だけでは解答方法が分からないことも多いので、『要点の整理』を通じて習熟度の低いセクションの理解に努めるようにしました。過去問は分からない問題に当たっては理解に時間を割いてということを繰り返したため、100時間を使いながらもできたのは2回転程度でした。解答方法に習熟するためにも、3回は繰り返すことが望ましいと思います。問題で理解がないと特に難しいと感じたのは、経済、デリバティブといった分野でした。これらは『要点の整理』を用い、ある程度時間を割いて学習しました。その他の分野も公式を頭に入れておく必要のあるものが多かったので、それらにも時間を使いました。試験では公式集(Formulae)が配布されるため、公式の完全な暗記は必要ないですが、短時間で問題に解答していく必要があるため、ある程度頭に入れておいた方が良いと思います。

 

CMAで大して理解できていなくても解答できた、または飛ばしてしまっても他の分野の得点で補えたという状況は誰しも少なからずあったと思います。そうした弱点を補強する観点から過去問と『要点の整理』を積極的に使われると効果的です。特に経済、デリバティブは得意でない方は時間を使って復讐されることが望ましいと思います。コーポレート・ファイナンス、財務分析、株式分析、債券、ポートフォリオ・マネジメントは、CMAの知識と計算等の練習をすれば問題なく解答できるようになると思います。

 

次回は第1単位、第2単位それぞれの対策方法について書きます。

 

 

 

国際公認投資アナリスト(CIIA)受験記録 ~概要~

ciia hashtag on Twitter
 
2020年度の国際公認投資アナリスト(CIIA)試験に合格しました。全世界で会員が今年10,000人にようやく届くか届かないかという非常にマイナーな試験なのであまり聞き覚えのない方も多いと思いますが、その分参考になるブログ上の記録なども少ないので、こちらに受験記録を記そうと思います。
 
CIIAは米国を除く主要国の証券アナリスト試験の合格者が受験する共通試験で、合格すると必要に応じて他国の証券アナリスト協会に籍を移管することもできる資格です。日本では日本証券アナリスト協会(SAAJ)が実施する証券アナリスト資格(CMA)に合格すると、次のステップとして受験することが可能となります。英国、スイス、香港等、主要金融市場の証券アナリスト協会が参加しており、米国以外で有効性を持つグローバルな資格です。なぜ米国でCIIAが有効でないかと言うと、米国では独自の証券アナリスト制度であるCFA(Chartered Financial Analyst)の普及に努めており、CIIAを通じた他の試験制度との交流は行わない方針であるからとのことです。実際、CFAの会員数は160,000人超ということで、1国の証券アナリスト協会の会員数であることを考えるとけた違いに多いことが分かります。自分も日本のCMAを受験してCIIAを取得するルートを選んだものの、それだけでは知名度も知識も不十分と考えたため、このCFAを受験することにしました。
 
とはいえ、CIIAの試験自体は非常に有意義で面白いものでした。知名度は世界的に見てもあいにく低く、日本以外ではCIIA保持者に出会ったことは2回しかないという状況ですが、さすが各国の証券アナリスト制度を統合した試験制度ということで、勉強のし甲斐のある内容でした。CMAからCIIAへの流れではなく直接CFAを受けてしまえば良かったと考えることもあるものの、英語のみで出題されるCFAを直接狙いに行くよりも、CMAからCIIAへ段階的に日本語で学んでいったプロセスは無理がなく良かったと感じています。これからCFAのLevel 1~Level 3を2年間かけて受験していくことになりますが、CMAとCIIAの下地は活きると勉強を始めながら感じています。
 
この記事ではマイナーなCIIAをよく知って頂くため、自分が受験に際して気になったポイントを概説したいと思います。
 
1. 保有のメリット
日本の証券アナリスト資格(CMA)を保有していることに対するプラスアルファは、限定的ではあるものの存在するとは思います。自分はCMAを取得後、長いブランクを経てCIIAを取得しましたが、その間会ったCIIA保有者に対しては少なからず畏敬の念を抱いていました。理由は、CMAがあれば十分なところを真摯に勉強を継続して合格していると感じられる点にあると思います。CIIAがマイナーであるが故、見栄のために受験するインセンティブが低いという点が取得者の向学心を想像させるということなのだと思います。
 
また、これもCFAほど強力なメリットとは言いにくいのですが、海外の金融専門家と同一資格を保有しているという自負を持つことができるという点があります。自分は過去2回に限定されるものの、過去にスイスとロンドンの投資家で名刺やEメールの署名欄にCIIAを記載している人を見つけたことがあります。難易度と知名度からCFAと同等とは言い難いものの、CFA保有者が持つとされる資格を保有していることの自尊心と有資格者同士の連帯感を一部ながらCIIAでも感じることができると思います。
 
2. 試験内容
CIIAは第1単位(コーポレート・ファイナンス、経済、財務分析、株式分析)、第2単位(債券分析、デリバティブ分析、ポートフォリオ・マネジメント)の2単位に分かれており、個別に合否が判定されます。両単位合格して初めてCIIAの資格が授与されますが、分野が財務系と数理系にはっきり分かれていることが自分の受験者を泣かせていると考えられます。自分は出身が数理系ではなかったため、数理系の分野だけで合格点を取らなければならない第2単位に非常に苦労しました。第1単位に合格した後第2単位で不合格となり、その後年数が経って第1単位の合格履歴が失効したという悲劇に見舞われました。結果として今年両単位の勉強を同時にできたので、知識の定着という意味では非常に良かったのですが、第2単位はまた落ちるのではないかと最後まで不安でした。
 
CMAの二次試験では全科目合計で合否が判定されるため、多少数理系の問題に疎くても合格できるトリックがあったのですが、単位を分けられてしまったことにより、できない場合は全く得点できない計算問題が多くを占める第2単位に特に苦戦することになりました。ただ、逆を返すと、CIIAを受験することでオプションや先物の計算を逃げずに勉強してできるようになり、債券数理の問題などに対する苦手意識もなくなりました。
こういった意味ではCIIAの問題構成は自分自身の金融に対する理解に大いに役立ったといえます。
 
3. 合格率
CIIAは各国の証券アナリスト試験に既に合格した受験者のみを対象とした試験であるため、国籍や規制の異なる証券アナリスト達を国際基準の元で追認するという性質があり、合格率自体は高くなっています。CMAの合格率は第1単位、第2単位とも40%以上と高いですが、CIIAはそれ以上に高く設定されています。問題が簡単な訳ではないので、合格点の設定が低いのだと思います。自分の受けた2020年3月試験の合格率は、第1単位が83.3%、第2単位が60.9%でした。過年度の合格率もばらつきはあるものの少なくとも50%は超えており、「やれば受かる」試験であるといえます。
 
 
ただ、合格率に甘んじてCMA直後に不勉強のままCIIAに突入すると、問題の傾向や解法が分からず撃沈すると思います。自分自身も仕事や大学院の勉強を言い訳にして、CIIA勉強をほとんどせずに試験に突入して失敗したことが複数回(!)ありました。今回は1月から2月までの2か月間の多くをCIIAの勉強に割いたため、ある程度の自信を持って結果を待つことができました。合格率は高いものの、なめてしまうと落ちるという試験ることは想定しておいた方が良いかもしれません。実際、2017年に実施された合格者アンケートでは50-200時間のゾーンが45%と最も多く、25%は200時間以上勉強していました。
 
 
 
以上、散文的になり恐縮ですが、CIIAを受験した経験から感じた試験の全体像を掲載しました。各単位について行った勉強法なども別途書いていきたいと思います。
 

国連英検特A級: 二次試験得点分析

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国連英検特A級の二次試験を二度受けた経験を個別セクションの得点の観点から書いていきます。自分は残念ながら二次試験が一発合格にはならず、二度受ける羽目になりましたが、こうして不合格時と合格時の比較が書けることを考えると、二度受けて良かったと思います。落ちる前はもう一度受けたいなんて絶対思いませんでしたが。。

 

1回目(2018年度第2回)

総合 7

1. Comprehension 7

2. Pronunciation 7、Fluency 7、Structure 6、Vocabulary 7

3. Communication 7

4. Knowledge 8

 

1回目はKnowledgeだけ合格点で他は不合格点という寂しい結果でした。国連英検の試験官は基本フレンドリーで、にこやかかつ丁寧に話を聞いてくれるのですが、面接が進むにつれて特にアメリカ人の試験官の方のアテンションがどんどん下がっていくのが分かりました。多分自分の話している内容が理解できなかったのだと思います。

 

面接時間中は必死なので何とか言葉をつなぎましたが、話していて文の構成がバラバラなのが自分でも分かりました。また、話すことに必死になりすぎてはっきりと大きな声で話すということも疎かになっていました。考えながら急いで話したので、無意識に何度もit would be...と言って、その後の言葉が出てこないという場面も多かったです。難しいことを言葉に出す練習をあまりせずに臨んだので、頭では分かっていても英語で表現できないという状況が何度も出てしまいました。

 

面接シートの書き方も良くなく、自分の経験や関心事を列挙した形にしてしまいました。結局趣味の欄に何となく書いたDrivingという単語が面接官の目に留まり、あまり詳しくない電気自動車の普及についての話から面接がスタートしてしまいました。

 

点数は7点とそこまでは悪くなかったですが、全体的に表現力に欠ける内容となってしまい、不合格を前提に試験官が採点したことが想像できました。あまりできたように感じていなかったので、試験結果を見たときはがっかりしつつも納得しました。

 

2回目(2019年度第1回)

1. Comprehension 9

2. Pronunciation 7 、Fluency 6、Structure 6、Vocabulary 7

3. Communication 8

4. Knowledge 9

 

2回目は比較的コミュニケーションが上手くいき、合格を予想できる内容でした。特に面接シートに話せること、話したいことだけを記載したことが良かったと思います。広く浅く国際ニュースを拾った1回目はどのコメントも中途半端でしたが、今回は独自性の出せる説明ができました。面接官が気になっている分野はあるかと何度か聞いてくれ、こちらからテーマを設定できたことも良かったです。

 

面接用の準備として、気候変動(パリ協定と経済成長)、難民(ミャンマーカレン族)国連責任投資原則(現在の業務との関連)、歴史上の尊敬する人物(阿倍仲麻呂)といった点を入念に調べ、話せるようにしておきました。これらは面接官に理解してもらえるように話すのが難しかったですが、お陰でKnowledgeで9をもらうことができました。Comprehension、Communicationもそれぞれ9、8で、与えられた質問に自分の見解を加えてうまく話せたと評価してもらえたのだと思います。

 

あいにくFluency、StructureをはじめとするSpeaking能力そのものの評価では良い点をもらえませんでした。これは国連英検対策とは関係なく、長期的に積み上げなければならないものなので、試験対策では間に合わせることができませんでした。これは今後の課題として強く認識しておきたいと思います。発音は、発音記号を意識して音読をする、文法は、構文を何度も暗唱して文型を習得するといった対策が必要だと思います。これからTOEFLの受験などを通じてSpeaking力を高めたいと思います。