ペコちゃん金融

英語・金融の資格試験の受験記録と金融業界の動向についてのコラムを書いています。英語資格は国連英検特A級(2019年8月)、英検1級(2018年6月、東京都上位1%)、TOEIC 990を取得済(2015年10月)。金融はCMA、CIIA、CFA Level Iに合格し、現在2021年5月のCFA Level IIの結果待ち中です。金融業界の分析についてはこれから始めるところですが、投資銀行を中心にメディアの情報を拾い、自分なりの考えをコラム形式で書いていこうと考えています。

CFA Level I 受験記

2020年12月のCFA Level Iの試験に合格しました。2021年5月のLevel II 試験に向けた勉強をこれから開始しますが、その前にLevel Iの体験記を書いておきます。これからLevel Iを受験される皆さんのお役に立てば大変嬉しく思います。

 

1. TAC CFA講座 受講(6〜7月)

TACのCFA講座をオンラインで受講したので、開講した6月から学習を開始しました。講座にはSchweserのテキストとTACの日本語版サブテキストが付いていて、講義はサブテキストをベースに適宜Schweserを参照するという形で進められました。講座は1回当たり2時間半程度の講義を26回受講する構成で、2日に1回のペースでiPhoneを通じて受講し、約2か月で全講義の受講を完了しました。日本語ベースということで話は聞きやすかったですが、最終的にはScheweserのテキストを自分で読んで英語での理解に落とし込むことが必要だったため、受講時間65時間が若干勿体無かったように思います。CFAの問題構成や関数電卓の使い方などを解説してもらえたことは初学者としてとてもありがたかったですが、その他の時間を日本語の講義に費やしたことは、後でSchweserを全て自分で読み返したことを考えると二度手間になったと感じました。もちろんTACの講座がうまくはまって勉強を効率化できたという方もいらっしゃったので、個人差はあると思います。

 

2. Schweser Notes 精読(8〜9月)

TACの講座を全て受講後、合格者のブログ記事を参考にSchweser Notesの精読と章末問題の解答を始めました。Schweser NotesはTACの講座申込時に冊子が付いてきますが、Schweserのオンラインツールのアクセス権はありません。Schweserのツールをフル活用したい方は、TACの講座申込時にSchweser不要の旨を伝えて該当分の割引を受け、別途自分でSchweserのウェブサイトから教材パッケージを購入することが必要です。自分はこの点を知らずに申し込んでしまったので、受講開始後に後悔しました。Scheweser NoteはCFA協会のテキストをコンパクトにまとめたものですが、それでも科目数が多いので分量が多く、読んで問題を解くのに時間を要しました。2か月間で2-3回転するという目標を持っていましたが、英語であることと分量が多いことで進度はかなり遅くなり、結局2か月で1回転するのがやっとでした。9科目あったので、平均的な進度は1週間で1科目分強読めたという程度でした。それでも英語で内容を理解して問題を解いてという作業はTACの講座を受講していた期間よりも理解度増進に役立ち、この2か月で全体像を上手く把握できたようには思いました。章末問題もテキストの精読後にすぐ解いたので解法に関する記憶もあり、ある程度解けているように感じました(実際の正答率は6〜7割)。

 

3. Schweser Practice Exam 解答(10〜11月)

Scheweser NotesにはPractice Examと呼ばれる4回分の模試が含まれているので、試験前に繰り返せば合格に近づくと思い、利用しました。2か月を使って何度か繰り返したいと思っていましたが、思った以上に解答と問題の復習にかかる負荷が大きく、実際は1回転しかできませんでした。試験は午前3時間、午後3時間の合計6時間分あり、間違えた問題について解答と同じぐらいの時間をかけて解説を読んだため、週末の1日を使ってできた分量が一つの試験の午前か午後のパートのどちらかという結果でした。時間が十分に取れたときは午前・午後とも解答できましたが、復習は別の日に持ち越す形になりました。思った以上に問題が難しく、分量も午前・午後のそれぞれで120問ずつと多いので、かなり疲弊しました。家族に頼んで週末2日のうち1日を勉強に充てさせてもらったりしましたが、それを8週間続けて4試験 x 午前・午後 / 8週でようやく1回転という内容でした。Practice Examを2か月かけて何とか一周したものの、正答率は5割前後と非常に低く、本試験がとても不安になりました。最初に解答した試験の正答率が5割弱だったので、次にはもっと良くなるはずと受けていったのですが、結局最後まで6割を超えることさえできませんでした。合格率4割以上の3択マーク式の試験なのに、合格ラインとされる7割に2割も届かないという現実を認識し、絶望的な気持ちになりました。

 

4. CFA協会 Mock Exam 解答通読(試験直前)

11月末までに何とかSchweserのPractice Examを完了させましたが、6割にも満たない正答率に不安を持っていたので、試験当日の12月5日(土)前の2営業日で有給休暇を取り、CFA協会上のアカウントで取得できるMock Exam 2回分の解答を通読しました。本来はこちらも解答すべきだったのですが、物理的に間に合わないと感じたことと、試験直前に疲弊したくないということを理由に、解答を見ながら真似して解いてみるという作業を行いました。Mock ExamはSchweserのPractice Examよりも難しく感じ、これまでのPractice Examの解答では不十分だったかもしれない、と一層不安になりました。とはいえ試験が目前に迫っていて、6時間の長丁場を元気に乗り切る必要があると感じていたので、決めていたところまでを通読したら勉強を止め、翌日に備えて早く就寝しました。本来はMock Exam 3回分全てに目を通しておくべきだったので、スケジュールをあと1週間だけでも前倒しにしておければと悔やみました。言語、テキストの違いから互換性が低いと感じたTACでの長時間の受講を特に後悔しました。

 

5. 試験本番(2020年12月5日(土))

試験は東京ビッグサイトで9時から行われ、受付開始時刻は8時半でした。有明ということで距離があったので、自宅を早めに出るようにしました。開場前に到着するとやはり既に長蛇の列で、受付時間も考慮に入れて行動すべきと感じました。昼食は席で取っても良いと事前の案内に記載されていたので、自宅近くのコンビニでパンなどを買って持ち込みました。東京ビッグサイトではコンビニやカフェが週末でも全て営業しており、実際には予め買っておかなくてもランチに困ることはなかったようです。試験は受付に時間を要したものの、数分の遅延のみで開始され、試験時間は午前・午後とも中断等の問題はなく運営されました。試験に来ていたのは全体の6-7割ぐらいというところでしたが、コロナの影響下だったので通常の試験と出席率がどの程度違ったのかは分かりません。試験勉強に脱落した欠席者が多いほど受験者全体の成績が上がり、合格率が低下するという想定をしていたので、出席率が低く見えたことはネガティブに感じました。実際の試験はPractice ExamやMock Examよりも平易な問題で構成されており、若干肩透かしを喰らったと感じつつも、各模試の悪い成績を勘案してとても安心しました。この問題で合格点7割、合格率4割強なら納得だという内容でした。Practice Examは民間業者の問題であり、TACの講師からも本番より難しいと聞いていたので、難易度の乖離はあり得ると考えていましたが、CFA協会が作成したMock Examよりも簡単だったことには驚きました。時間もPractice ExamやMock Examと異なり、午前・午後とも20分ずつ余らせることができたので、見直しをするには十分でした。本試験がMock Examのレベルの問題であれば何度やっても受からないなと感じながら試験会場に向かったので、諦めずに受けて本当に良かったと思いました。

 

6. 試験結果(2021年1月29日(木))

試験結果は2か月程度で開示されると言われていたので、ソワソワしつつも、試験準備中は手を付けられなかった他のことに時間を使いながら待っていました。発表日の1週間前にメールで結果発表日時の連絡があり、それまでに通知用Eメールの変更が必要な場合は行っておくようにとの記載がありました。1月29日(木)のニューヨーク時間午前9時(日本時間午後11時)に登録先のメールアドレス宛に試験結果が直接送付されるという内容でしたが、実際にはそれよりも早く送付されると受験経験者に聞いていたので、当日は日本時間の午後8時頃からかなりソワソワして待っていました。予告通知時刻の1時間前に当たる22時になっても連絡が来なかったので、一旦諦めてコンビニに買い物に行きましたが、その帰り道で10時25分頃にメールを受信し、開けると1行目にCongratulations!の文字が書かれていました。かなり分かりやすく書かれていたのですぐに目に飛び込んで来て、メールを開いた瞬間から喜んでいました。合格率もメール上に記載されており、49%とのことでした。

 

帰宅後にメール上のリンクから試験結果の詳細を確認しました。結果は当然ながら合格点と考えられる7割を超えていましたが、Alternative Investments & Derivatives、Corporate Finance、Economics、Equity Investments、Portfolio Managementが7割を超えていた一方で、Ethical & Professional Standards、Fixed Income Investments、Financial Reporting & Analysis、Quantitative Methodsが7割を下回っていました。7割を超えていた科目の超過幅がとても大きかった一方で7割を下回った科目は6割程度以上取れていたので、合計点が7割を超える結果になったようです。具体的な数値が分からないよう、レビューシートは図のみで構成されていました。詳細の把握には限界がありますが、受験者上位10%の得点と上位49%に相当する合格点のちょうど真ん中に自分の得点が位置していたので、上位30%程度での合格だったのではないかと思います。勉強開始時点では全科目7割以上の正答率で合格したいという願望があったのですが、途中Practice Examで6割も取れずに諦めかけたことを考えると、上出来だったと思います。

 

Level II、Level IIIはLevel Iと比較にならないほど難しいので、Level Iで落ちているようではその後の合格は難しいと書いてあるブログもあり、受験前はかなり心配していました。実際に今回受験して、本試験とPractice Exam、Mock Examの性質は根本的に異なることを理解できたので、かなり気が楽になりました。とはいえLevel IIがLevel Iより相当難しくなることは間違いないので、気を引き締めていこうと思います。