国連英検特A級: 一次試験対策(I. 国連関連知識)
ここからは国連英検特A級一次試験の対策方法をセクション別に詳しく書いていきたいと思います。初回となる今回は、I.の国連関連知識問題です。
国連知識問題は『わかりやすい国連の活動と知識』という国連英検協会指定のテキストの内容を覚えているかを問うもので、単語力、文法力、読解力は特に問われません。しかしながら、事前にある程度時間をかけて国連知識を頭に入れる必要があるため、英語力だけでは突破できないセクションとなっています。英検1級などの純粋な英語力のみを問う問題で構成された試験では、英語力の高い方が無勉強で合格したといった体験談を見ることがありますが、逆に国連英検では、そうした高い英語力を持つ方が無勉強で試験に臨み、I.で低得点となったことが原因で不合格になったというケースが非常に多く見られます。こうした失敗を防ぐためにも、英語力を高めると同時にこの国連知識問題の対策を十分に行うことが必要です。
I.で最も重要なのは、意外ではありますが、指定テキストを読み込むことに時間を割かないということです。指定テキストの内容はIX.のライティングに用いる知識を得ることにつながるため、1〜2度は通読すべきですが、それ以上に細かく文章を負う作業は分量も多いため時間を要しますし、絶対に問題に出ない文章も数多くありますので、かけた時間が点数に繋がりにくいというデメリットがあります。
得点を最も効率的に高めるには、過去問を可能な限り多く解くことが最も効果的です。国連英検では、過去問と完全に同一の問題、または過去問と同一の文章に関して問われる箇所が異なる問題が出ます。問題を転載することは禁止されているため具体的にはお示しできないですが、例えば下記のような分野は頻出範囲です。出題者側でも必ず含めたい問題があるようで、国連憲章の主要条文、世界銀行グループの構成、重光外相の演説内容等は、毎回必ずと言って良いほど出題されます。
・説明文に関する国連憲章上の該当条文(第30条、第100条等)
・世界人権宣言の条文数(30条)
・世界銀行グループの機関に関する説明と当該機関の解答(IBRD、IFC、IDA、MIGA)
・日本の国連加盟時における重光外相の演説の抜粋(当時の中東・東欧諸国における紛争状態を憂慮する内容の一文)
出題分野と問題形式はほぼ固まっていますので、過去問を数多く解き、解答が即座に浮かぶレベルまで持って行っておくことが大切です。I.に時間を割かずに済むようになれば、貴重な120分の時間を長文読解やライティング等の時間がかかるセクションに割くことができます。過去問を数多く解き、可能であれば2〜3回転させて出題される国連関連知識を暗記することで、10点の獲得を狙えるようになります。
意外とこのセクションは受験者が時間を取れていない箇所であり、他のセクションのように地道な英語力の向上が問われる内容でもないため、コスト効率が高く、高得点を狙えるパートとなっています。国連英検を中心に据え、ある程度の時間をかけて勉強されている方は、英語力は高いながらもこのセクションに時間を割けなかった他の受験者と差別化を図ることができます。実際、合格点に数点足りなかった方がI.で1点や3点といった点数を取ったことで不合格となっているケースは、ウェブサイト等で見る限り非常に多いです。
ぜひ過去問への習熟を通じて、このセクションで10点を取れるように取り組んでいただきたいと考えています。このセクションだけは習熟していれば点数が見通しやすいため、毎回合格点が異なることから合否の不確実性が高い国連英検の合格可能性を下支えしてくれると思います。
次回はII.の長文読解について書いていきます。