ペコちゃん金融

英語・金融の資格試験の受験記録と金融業界の動向についてのコラムを書いています。英語資格は国連英検特A級(2019年8月)、英検1級(2018年6月、東京都上位1%)、TOEIC 990を取得済(2015年10月)。金融はCMA、CIIA、CFA Level Iに合格し、現在2021年5月のCFA Level IIの結果待ち中です。金融業界の分析についてはこれから始めるところですが、投資銀行を中心にメディアの情報を拾い、自分なりの考えをコラム形式で書いていこうと考えています。

国連英検特A級: 総合(一次試験)

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2018年度第2回の国連英検特A級を受験しました。二次試験を12月16日(日)に終えたので、一次試験対策から振り返っていこうと思います。今後国連英検特A級を受験される方の参考になれば幸いです。

 

自分は2018年度第2回の一次試験を受験し、合格点62点に対して65点で合格しました。合格点が68点に設定される回もあるので、ギリギリでした。合格はしたものの、一度正解を選んだ後に間違った選択肢を選び直して不正解になった問題が3問あったり、合格速報で自己採点した結果よりも2点低い結果になっていたりと、もっと納得のいく受験をしたかったという後悔の念が残っています。反省点を含めて今後ブログ上に試験のレビューを記載して行きますので、これから受験される皆さんにお役立て頂ければと思います。

 

一次試験の全体像

一次試験は、大問I-VIII、各10問の80問(各1点)と、IXのライティング1問(200-250字、20点)の100点満点で構成されています。試験時間は120分です。I-VIIIは4択のマークシート形式で、国連知識、長文読解、文法、語彙に関する問題が含まれています。IXのライティングは、国際問題に対する国連の取り組みに関する論述を求める問題が出題されます。合格点は受験者の得点分布を考慮して受験回ごとに決められ、最近の数年度の合格点は62-68点の間に分布しています。

 

時間は120分あるものの、ライティングに20分割くことを前提とすれば、100分で80問を解答しなければなりません。IIの長文読解には15分はかかりますし、語彙・文法問題も短文で出されるものよりも長文中に付されたものの方が多いため、一問一問の解答には相応に時間がかかります。形式や解答に要する時間は違えど、試験を通じて5題(セクションII、IV、V、VII、VIII)の長文を読む必要がある中で、タイムマネジメントは非常に重要な要素となります。

 

合格率は公表されていませんが、申込時にもらえるA4両面1枚のデータ集によると、英検1級保持者の合格率が一次試験で20%程度、二次試験で10%程度となっていました。二次試験まで合格するには英検1級合格者の上位10%の位置にいる必要がありそうです。全体の合格率はこれより少し低いと推察されますが、国連英検特A級の受験者は先に英検1級を取得している人が多いでしょうから、英検1級保持者の合格率を頭に入れておけば十分かと思います。今の英検ではCSEスコアの都道府県内における順位が出ますので、そちらで英検1級合格者の中の自分の位置を確認することができます。

 

 各セクション概要

今回は総合編ということで、大問I- IXの各セクションの内容と特徴について大まかに書いておこうと思います。これらのセクションの特徴について、受験テクニックの記述と併せて別途掘り下げていきたいと思います。各セクションの構成と特徴は、下記のようになっています。

 

I. 国連知識: 『わかりやすい国連の活動と知識』の中から出題される国連知識を問う問題。国連機関の所在地・設立年・目的、世銀グループ機関の概要、重光外相の国連演説の内容など。過去問で出題された問題が選択肢を変えるなどして複数回使用される。テキストの通読は一度はした方が良いが、問題の形式は決まっているため、過去問を数多く解いた方が効率的

  

II. 長文読解: 純粋な長文読解問題。各段落の要約、前置詞ofの用法、パラグラフ構成の分類など。文章自体は難しく、読み解くのに時間がかかるが、精読すればどの問題も根拠を見つけられるように作られている。他のセクションをできるだけ短時間で終わらせ、ある程度の時間をII.に充てることができれば、正答率は上がる

 

III. 文法: 純粋な文法問題。2-3文で構成される文章の中から誤りのある語句を選択。動詞の形、可算・不可算名詞の選択、定型句の判別など

 

IV. 動詞の形: 長文の中の指定された動詞の形を問う問題。動詞の原型が書かれた問題を前後の文から推測して変化させる。現在・未来・過去・過去分詞、不定詞、動名詞など

 

V. 語彙: 長文の中に入っている語句の意味または単語の同義語を問う問題。文脈の中で意味を定義づけている問題が多い。2018年度第2回の選択肢に登場した単語はpetrify、egalitalian、allure、tenaciousなど

 

VI. 語彙と文脈理解:1-2文の中に空欄が二箇所あり、埋めるべき単語のペアを選択する問題。同義語が複数入っており、意味の理解だけでは絞り込みが難しいため、前後の単語とのcollocationを覚えておく必要あり。各設問が独立しているため、隙間時間などに勉強することが可能。2018年度第2回の選択肢に登場した単語はaggravate、dismal、rebuke、beckon、altercate、disseminateなど

 

VII. 語彙と読解: 長文の中に入っている単語の意味を前後の文脈から推測して選択する問題。原文の単語は平易だが、前後の文から単語の意味を推測する作業にある程度の時間を要する。2018年第2回の選択肢に登場した単語はostensible、exasparate、abhorrentなど

 

VIII. 読解と語彙:長文を読んで理解した上で適切な語句を選択。文脈から正解を推測する必要があることから読解力も求められ、解答に時間を要する。正答率が非常に得にくいセクション。2018年度第2回の選択肢に登場した語句はpathology、hollow out、entrench、immisarationなど

 

IX. ライティング:国連知識を前提に200-250語の文章を記述。I-VIIIの解答に相応の時間を要するため、20分以内に書き上げることが望ましい。国連知識を用いて国際問題への国連の対応方法を書くという問題の傾向は一貫しているため、過去問を題材に記述する練習を繰り返せば、効率的に内容の伴った論述を行うことは可能。2018年度第2回試験の問題は、食糧安全保障における国連の役割

 

一次試験対策

一次試験対策は、過去問を時間を計りながら数多く解くことに尽きると考えています。国連英検TOEIC実用英語技能検定と違って教材が非常に少なく、国連協会の公式教材以外に頼るものがほとんどありません。また、語彙問題や文法問題の多くが長文の文脈から読み取る形式で出題されるため、単語や文法に特化した書籍を用いて個別に勉強することも難しいです。特殊な問題を時間内に解けるようになるために、過去問の解答と復習を徹底することをお勧めします。

 

過去問を通じた対策として、自分は申込時にもらえる前回分の本試験の冊子と、国連英検特A級2015-2016年度過去問題集、国連英検特A級2013-14年度過去問題集、国連英検特A級・A級2013年度版過去問題集(内容は2012年度の特A級・A級の過去問)、国連英検公式ガイドブックを1回ずつ時間を計って解きました。これらを用いて合計12回分の過去問を解くことができました。過去問を解いて分かったこととして、国連知識問題の出題に規則性がある、文法問題の一部は選択肢を含めて全く同じ問題が出る、語彙問題の選択肢に登場する単語の一定数は過去問の選択肢にも頻繁に登場する、といった点があります。過去問を多数解くことで、得点率を高めるとともに既出問題に素早く答えて時間を節約することもできるため、ベースとなる英語の読解力、文法力、語彙力を高めること以上の効果が得られます。

 

また、一次試験の問題はI、II-VIII、IXで内容が大きく異なるため、個別の対策が必要です。対策はそれぞれ下記のように行うことをお勧めします。

 

Iの国連知識は全て『わかりやすい国連の活動と知識』という指定テキストから出題されます。テキストの分量は多いですが、問題形式はパターン化されていて、過去問と同じ形式の問題が多数出るため、過去問をこなせば満点を確保できるようになります。逆にテキスト本文を読み込み過ぎると、出題されない箇所の通読に多くの時間を割くことになるため、1-2回通読して全体像を掴んだら、要点をまとめたメモなどを直前に見るに留めるなど、割り切った対応をすることが望ましいです。

 

II- VIIIは、純粋な文法、語彙の問題が前半に一定数あるものの、長文の中に散りばめられた文法、語彙問題を前後の文脈から読み解く問題が後半に多く存在するため、長文読解力が必要とされる場面が多くあります。また、英検1級よりもさらに難しい語彙が多数登場するため、高度な語彙力も必要です。時間内に一定以上の正答数を得るためには過去問を時間を計って多数解くことが重要です。過去問を解くことで頻出の文法問題や単語を覚えることもでき、前述のように既出問題の記憶を通じた正答率の向上と時間の節約を図ることに繋がります。

 

IXのライティングは、国連知識をベースに書く必要のある問題が出るため、Iのために使用するテキストの内容をある程度覚えておく必要があります。問題は多岐にわたり、完璧な準備をすることは難しいため、テキストである程度の背景知識を得たら、それらを駆使して解答に繋げるアプローチを訓練することが重要です。2018年度第2回の例で言えば、「食糧安全保障」と来たらすぐにFAO、WHO、WFPの3機関を思い浮かべ、各機関の機能の違いを意識しながら骨子をメモ書きで作成するといったプロセスを先ず踏みます。これを2-3分でできれば、17-18分を使って本文の論述を行い、20分で文章を完成させるができます。

 

一次試験を突破するためには、Iと IXの得点をある程度計算できるレベルに持って行っておくことが重要です。Iは10点、 IXは12点が目安になります。残りの70問で45点前後を取り、合格点に持っていくイメージです。

 

Iは覚えれば即得点に結びつくことから費用対効果が高く、合格点を取る上で最も重要なセクションと言えます。英語の得意な人がぶっつけ本番で受けてみたものの不合格という投稿をネット上で時々見ますが、ここが3点だったというケースもありました。仮に10点だったとしたら余裕で合格点を超えていたりします。時間をかけて準備する心構えのある人は、Iに時間を割くことが得策だと思います。他のセクションは語彙力や読解力が複合的に問われるため、勉強が得点の向上に結びつきにくいですが、Iだけは時間を割けば他の受験者と明確に差を付けることができます。

 

IXは、テキストを通読することによって得た大まかな知識を使えば、ある程度問題に対応できるようになります。高得点を狙うのは難しく、合格者の得点の多くは12点程度ですが、不合格者でも最低9点程度は取っているため得点がぶれにくく、対策をきちんとすれば確実に6割前後を取ることができます。総合で76点を取った優秀な受験者の特典も13点でしたので、平均的な合格者と高得点者の得点差もつきにくいセクションです。120分の試験時間の中で IXに割ける時間は20分程度だと思いますので、過去問を20分以内に解答する練習を複数回行うと良いと思います。

 

以上が一次試験全体の概要と、自分自身の考える効果的な対策方法でした。次回以降は一次試験の各セクションについて細かく書いていきます。