ペコちゃん金融

英語・金融の資格試験の受験記録と金融業界の動向についてのコラムを書いています。英語資格は国連英検特A級(2019年8月)、英検1級(2018年6月、東京都上位1%)、TOEIC 990を取得済(2015年10月)。金融はCMA、CIIA、CFA Level Iに合格し、現在2021年5月のCFA Level IIの結果待ち中です。金融業界の分析についてはこれから始めるところですが、投資銀行を中心にメディアの情報を拾い、自分なりの考えをコラム形式で書いていこうと考えています。

国連英検特A級: 一次試験対策(VI. 語彙)

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国連英検特A級一次試験のVI. 語彙について書いていきます。

 

このセクションでは、独立した1-2文の中の空欄2箇所に適切な単語を挿入する問題が出題されます。2箇所に挿入する単語の選択肢は2つが1セットになっているため、それぞれの空欄について個別に単語を選択する必要はありません。このため、どちらかの空欄に入る単語が確実に分かれば、もう一つの単語を選択する必要はありません。

 

空欄が2つあるため、英検1級の語彙問題よりもヒントが多く解きやすいように見えますが、実際は単語のレベルがある程度高いことに加えて、似た意味の単語が複数含まれていルため、選択肢の絞り込みに苦労することが多いです。似た意味の単語を取捨選択するに際しては、語彙力に加えてコロケーション(前後の単語に対応する適切な単語を配置する)力が求められます。語彙力は単語を暗記していくことで高められますが、コロケーション力は高度な英文を多数読んで適切な単語の配列を感覚的に身に付けなければならないため、高めるのに時間を要します。

 

自分は語彙力の面でまず苦労し、コロケーション力の面でさらに苦労しました。最初の頃に解いた過去問では3-5点しか取れず、単語を覚えて7点程度の得点力にはなりましたが、本試験では6点という結果でした。8点以上得点できるようにならなかったのは、コロケーション力が短期間で伸ばしきれなかったためだと考えています。

 

語彙力は、V. 語句・語彙と同様に過去問を数多く解いて知らない単語を覚えていけば、相応に対応できるようになります。一方でコロケーション力は短期間で身につけることは難しいため、普段から長文を読む際に使われる単語の配列をできるだけ意識するようにすることが重要です。合格者平均点の少し上を行く点数を取り、このセクションを得点源とするためには、コロケーション力の向上が欠かせません。

 

実際の問題は、コレラ菌が伝染するという意味の文にtransmitとconveyのどちらを使うのが適切かを判断する、といったものです。日本語訳を比べるとどちらも当てはまりそうですが、実際はtransmitが用いられます。4つある選択肢の中で2つ程度までは語彙力で絞り込めますが、残った2つがどちらも使えるように見えてしまうことが多いのが、このセクションが難解となっている理由です。

 

コロケーション力を短期間で高めることは難しいので、語彙力を最大限に高めた上で、過去問から単語の用法を順次覚えて行くことが現実的な対策になると考えています。例えば、正式な大統領が不在の場合に代理で指揮を採る代表者をacting presidentと言いますが、これがtemporaryなどで代替できないことを覚えておけば、確実に正解を選択することができます。また、問題の中には過去問が選択肢を含めてそのまま出ることがあります。過去問を多数解いて解答を覚えておけば、その問題を正解として拾うことができます。

 

語彙力の向上を過去問の解答とその後の単語暗記で図り、コロケーション力の向上を過去問の解答パターンから覚えて類似した問題に活かすということが、対策法として有効です。自分はあいにく過去問で取れていた7点には届きませんでしたが、単語暗記と過去問のパターンの把握を行ったことで、他のセクションの足を引っ張るまでの低得点にはならずに済みました。難しいセクションですが、合否を分ける落とし穴にならない程度には解答力を高めておきたいところです。

 

次回はVII. 長文読解・語彙について書きます。

国連英検特A級: 一次試験対策(V. 語句・語彙)

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国連英検特A級一次試験のV. 語句・語彙について書いていきます。

 

V. 語句・語彙は長文の中に登場する語句や単語が指す意味が問われます。語彙の意味を問う問題の単語は難しく、英検1級レベル以上の語彙力が求められます。2018年度第2回で問われた語彙は、balminess、palpable、stridentといったものでした。語句については難しいものは問われませんが、長文の中で定義される意味を前後の文脈から推測して解答する必要があり、文意を正確に理解しなければ解答が難しい内容となっています。

 

自分はこのセクションを苦手としていて、あまり高い正答率を得ることはできませんでした。本試験では全セクション中最低点タイの4点でした。過去問では4-8点で、5点となった回が最も多かったです。対策としては、過去問を数多く解いた上で、問題と選択肢に出てきた単語を徹底して覚えることになると思います。

 

自分自身の対策法としては、過去問を解いた上で知らなかった単語を黄色のマーカーでハイライトし、単語帳アプリに記録して何度も見返しました。問題に出る単語も選択肢の単語4つも全く分からない問題も数多くあり、問題が黄色だらけになりました。単語の暗記に時間を割いた割には低得点に終わってしまいましたが、語彙力を高めることは総合的な読解力の向上にも繋がり、他のセクションにも活きてきますので、過去問の単語の暗記はやって良かったと思います。

 

語句の意味を問われる問題については、過去問と同じ長文が本試験で登場することはないため、無理に対策する必要はないと思います。時間内に長文を読んで前後の文脈から語句の意味する内容を短時間で把握する訓練を過去問を通じて行っていけば、それで十分です。このセクションでは、何よりも語彙の収集と暗記に努めることが重要です。

 

V. 語句・語彙について得点力を高めるに越したことはないものの、難問が非常に多いため、他のセクションの足を引っ張らない程度に得点することが落としどころだと考えています。合格点レンジの6-7点以上を目指しつつ、最低5点は取るといった水準感を持っておけば十分だと思います。単語の暗記に注力することが非常に重要ですが、高得点が取れないからといって気にしすぎず、他のセクションで十分挽回できる点数を最低限取るといった目標の水準感が適切だと思います。

 

次はVI. 語彙について書いていきます。

 

 

国連英検特A級: 一次試験対策(IV. 動詞の態)

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国連英検特A級一次試験 IV. 動詞の態について書いていきます。

 

このセクションでは、長文中に散りばめられた動詞の原形を適切な形に変化させる問題が出題されます。問題はTo Vの形で示され、現在形、現在形三単現、現在進行形、過去形、過去分詞、受動態などに変化させたものが選択肢になっています。出題される動詞は平易なものが多く、純粋に文法力を問う構成になっています。

 

解答は問題の前後から推測することになりますが、必ずしも全文を読む必要はなく、究極的には文意を深く理解する必要もないように思います。問題のある箇所付近の文を集中して読み、短時間で解答できるセクションです。効率的に解くことで、より難解な他のセクションに回す時間を稼ぐことができます。難易度も他のセクションに比べてかなり易しいと思います。9-10点を取っている受験者も多く、うまく読み解くことができる人は得点源にできます。

 

自分はこのセクションがあまり得意ではなく、本番では7点でしたが、それでも過去問では8-10点、平均9点は取れていました。問題に使用される動詞が平易なため単語の暗記などの対策をして得点を上げることは難しく、過去問を解くことで得点が急激に上がる性質の問題でもないため、このセクションに特化した対策を行う必要はないと思います。過去問演習を通じて解答速度を高め、他のセクションに回せる時間を捻出していくことが、現実的な対策になると考えています。

 

また、このセクションは解答に迷う選択肢が出ることが比較的少ないことも特徴です。問題だけを見てこれかな?と思う動詞の形態が思い浮かんだ状態で選択肢を見ると、そこに目当ての解答があるということも多かったです(ない場合もあって、そのときには少し慌てました。。)。国連英検特A級では選択肢に迷わず解答できる問題が非常に少ないため、このセクションで正答数と他のセクションに回す時間を稼ぐことをお勧めします。

 

次はV. 語句・語彙について書きます。

国連英検特A級: 一次試験対策(III. 文法)

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国連英検特A級一次試験のIII. 文法問題について書いていきます。

 

III. 文法は、独立した1-2文の中から誤った文法表現を選択する問題が出題されます。I. 国連関連知識と同様に、長文ではなく独立した文の中で解答を探す形式になっているため、比較的短時間で解答することが可能です。慣れれば10分以内に全問解答し、長文の中から語彙、文法問題が出題される他のセクションにより長い時間を充てることができます。

 

このセクションは、問題に習熟している方にとっては得点源になり得ます。実際、合格者におけるIII.の正答率は非常に高く、8-10点を取っているケースが多く見られます。自分は最初に解いた過去問が3点でしたが、過去問を解く中で平均7-8点取れるようになりましたが、本番では5点に留まったため、あいにく合格者の平均水準に対して習熟度が不足していたようです。その反省の意味も含めて文法問題の対策方法をここに記載しておきます。

 

問題の内容は、前置詞の選択、動詞の態、可算・不可算名詞の判別、名詞・形容詞・動詞の区別といったものです。特に難しい問題は出ませんが、問題文の構成が複雑なケースが多いため、間違いが複数存在しているように見えたり、全て正しいように見えたりすることが厄介です。また、一見不正解に見える表現に気を取られて単純な間違いを含む選択肢を見落としてしまう場合もあります。

 

対策方法は、月並みですが過去問を数多くこなし、それらを何度も見直すことです。文法問題は各設問が独立しているため1問1問個別に解答することができ、隙間時間を利用して勉強できます。過去問1セットを時間内に解く練習をする中で、文法問題も一緒に解答することが望ましいですが、一度解いた問題については、通勤・通学時間や仕事・勉強の合間などに数問ずつでも復習したり解答し直したりできます。国連英検の問題は長文中心であるため、隙間時間を利用して復習できるこのセクションは、I. 国連関連知識と同様に非常に貴重です。

 

過去問を数多くこなすことで、正解となる問題の傾向がある程度見えてきます。これは前置詞を問う問題、これは動詞の態を問う問題と、過去問を解いた後に各問の着眼点を確認すれば、出題傾向をパターン化して把握することが可能になります。自分は出題傾向をパターン化できるまで過去問を深く理解できなかったため、解答済の問題をもっと復習すればよかったと反省しています。前述の通り短時間でも復習できるセクションですので、単語の暗記などと併せて通勤時間やその他の空き時間に見直されることをお勧めします。

 

次回はIV. 動詞の態について書きます。

国連英検特A級: 一次試験対策(II. 長文読解)

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国連英検特A級一次試験のセクションII. 長文読解について書いていきます。

 

国連英検は長文の中で語彙問題や文法問題が主題されるセクションが多いですが、II.は純粋な長文読解問題となっています。内容は英検1級やTOEFLのリーディング問題と似ていて、個別段落の要約問題や、文中に記載のない情報を選択する問題など、ほとんどが実際に長文を読んで理解できているかを問う問題で構成されています。文章の難易度は高いですが、過去問を何度も解けば正解を選択するプロセスが身に付き、正答率も上がっていきます。奇をてらった問題はなく、文中に解答の根拠が明記されていて、それを言い換えているだけといった問題が多いです。そのため、試験時間の一部をこのセクションに十分に割けばかければ正答率がかなり上がりますが、逆に時間がかかることを敬遠してライティング、語彙、文法問題を先に解く人も多いため、受験者の正答率が相対的に低くなっています。

 

自分は語彙問題や文法問題が勉強しても得点が上がりにくかったため、このセクションは逆に得点源として助けてもらいました。きちんと時間を取って頭から読み下していけば正答できるように作られているため、むしろ語彙問題などよりも点数を稼ぎやすいセクションではないかと考えています。2018年度第2回試験では最後の段落構成を問う問題で正答を選んでいたにも関わらず、後で迷って別の選択肢を選んだために9/10となってしまいましたが、それでもある程度確実に長文全体を読み込むことができました。使用した時間は15分程度だったと思います。10/10を取っていればこの記事にも説得力が出たのにと悔やまれますが、とにかくやればできるセクションと覚えていただきたいです。

 

出題内容は、パラグラフの適切な要約を選択する問題、文中に記載されていない事柄を選択する問題、文章中に含まれる不要な一文を選択する問題、問題文に記載された一文を文中の適切な箇所に挿入する問題、文中に登場する数語の語句を言い換える問題、7パラグラフ程度の段落を4つに分解して構成を解答する問題などです。問題は長文を読み進める中で順に出題される形式になっているので、後戻りせずに効率的に解答していくことができます。例えば、第一、第二段落といった序盤では、個別の段落についての要約や、当該段落の文中に記載されていない事柄を選択する問題、中盤では不要な一文を削除するといった全体の構成とは関係性の低いテクニカルな問題、終盤では長文全体の中の一箇所に一文を挿入する問題や、全体の段落構成を解答する問題など、全体像を把握した上で解答する問題が出題される形式になっています。慣れれば読み返しによる時間のロスなく解答できるようになりますので、数多く過去問に当たって解答時間の短縮と正答率の改善を図られると良いと思います。

 

自分も過去問を解き始めた頃の得点は4-6点程度でしたが、後半では7-10点が取れるようになりました。また、当初20分はかかっていた解答時間を後半では15分程度まで短縮できました。I.の国連関連知識を5分、II.の長文読解を15分、IX.のライティングを20分で解答する前提で試験時間を組み立てられれば、III-VIIIの60問に80分を充てられることになり、各問題に余裕を持って答えられるようになると思います。

 

語彙、文法問題で正答率が伸びなかった自分としては、長文読解に十分な対策時間を充てることの意義は大きいと考えています。このセクションは解答に時間を要することから、I.の国連知識問題と一緒に捨てる対象となっていることが多いようです。しかしながら、時間がさほどかからない他のセクションでは他の受験者も十分に時間を割いて高い正答率を出すことができるため、差別化要因になりにくいと考えられます。他の受験者が得点できないところで高得点を上げることができれば、受験者の平均正答率を超えて合格に近づく要素になりますので、長文読解を捨てずに正面から向き合われることをお勧めします。イメージは、箱根駅伝でほとんどの選手が苦戦する5区の山登りでごぼう抜きする山の神です(自分は世代的に初代山の神(順天堂大学の今井選手)です)。

 

次回はIII. 文法について書きます。

国連英検特A級: 一次試験対策(I. 国連関連知識)

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ここからは国連英検特A級一次試験の対策方法をセクション別に詳しく書いていきたいと思います。初回となる今回は、I.の国連関連知識問題です。

 

国連知識問題は『わかりやすい国連の活動と知識』という国連英検協会指定のテキストの内容を覚えているかを問うもので、単語力、文法力、読解力は特に問われません。しかしながら、事前にある程度時間をかけて国連知識を頭に入れる必要があるため、英語力だけでは突破できないセクションとなっています。英検1級などの純粋な英語力のみを問う問題で構成された試験では、英語力の高い方が無勉強で合格したといった体験談を見ることがありますが、逆に国連英検では、そうした高い英語力を持つ方が無勉強で試験に臨み、I.で低得点となったことが原因で不合格になったというケースが非常に多く見られます。こうした失敗を防ぐためにも、英語力を高めると同時にこの国連知識問題の対策を十分に行うことが必要です。

 

I.で最も重要なのは、意外ではありますが、指定テキストを読み込むことに時間を割かないということです。指定テキストの内容はIX.のライティングに用いる知識を得ることにつながるため、1〜2度は通読すべきですが、それ以上に細かく文章を負う作業は分量も多いため時間を要しますし、絶対に問題に出ない文章も数多くありますので、かけた時間が点数に繋がりにくいというデメリットがあります。

 

得点を最も効率的に高めるには、過去問を可能な限り多く解くことが最も効果的です。国連英検では、過去問と完全に同一の問題、または過去問と同一の文章に関して問われる箇所が異なる問題が出ます。問題を転載することは禁止されているため具体的にはお示しできないですが、例えば下記のような分野は頻出範囲です。出題者側でも必ず含めたい問題があるようで、国連憲章の主要条文、世界銀行グループの構成、重光外相の演説内容等は、毎回必ずと言って良いほど出題されます。

 

・説明文に関する国連憲章上の該当条文(第30条、第100条等)

・世界人権宣言の条文数(30条)

世界銀行グループの機関に関する説明と当該機関の解答(IBRD、IFC、IDA、MIGA)

・日本の国連加盟時における重光外相の演説の抜粋(当時の中東・東欧諸国における紛争状態を憂慮する内容の一文)

知的所有権の保護機関(WIPO

 

出題分野と問題形式はほぼ固まっていますので、過去問を数多く解き、解答が即座に浮かぶレベルまで持って行っておくことが大切です。I.に時間を割かずに済むようになれば、貴重な120分の時間を長文読解やライティング等の時間がかかるセクションに割くことができます。過去問を数多く解き、可能であれば2〜3回転させて出題される国連関連知識を暗記することで、10点の獲得を狙えるようになります。

 

意外とこのセクションは受験者が時間を取れていない箇所であり、他のセクションのように地道な英語力の向上が問われる内容でもないため、コスト効率が高く、高得点を狙えるパートとなっています。国連英検を中心に据え、ある程度の時間をかけて勉強されている方は、英語力は高いながらもこのセクションに時間を割けなかった他の受験者と差別化を図ることができます。実際、合格点に数点足りなかった方がI.で1点や3点といった点数を取ったことで不合格となっているケースは、ウェブサイト等で見る限り非常に多いです。

 

ぜひ過去問への習熟を通じて、このセクションで10点を取れるように取り組んでいただきたいと考えています。このセクションだけは習熟していれば点数が見通しやすいため、毎回合格点が異なることから合否の不確実性が高い国連英検の合格可能性を下支えしてくれると思います。

 

次回はII.の長文読解について書いていきます。

国連英検特A級: 総合(一次試験)

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2018年度第2回の国連英検特A級を受験しました。二次試験を12月16日(日)に終えたので、一次試験対策から振り返っていこうと思います。今後国連英検特A級を受験される方の参考になれば幸いです。

 

自分は2018年度第2回の一次試験を受験し、合格点62点に対して65点で合格しました。合格点が68点に設定される回もあるので、ギリギリでした。合格はしたものの、一度正解を選んだ後に間違った選択肢を選び直して不正解になった問題が3問あったり、合格速報で自己採点した結果よりも2点低い結果になっていたりと、もっと納得のいく受験をしたかったという後悔の念が残っています。反省点を含めて今後ブログ上に試験のレビューを記載して行きますので、これから受験される皆さんにお役立て頂ければと思います。

 

一次試験の全体像

一次試験は、大問I-VIII、各10問の80問(各1点)と、IXのライティング1問(200-250字、20点)の100点満点で構成されています。試験時間は120分です。I-VIIIは4択のマークシート形式で、国連知識、長文読解、文法、語彙に関する問題が含まれています。IXのライティングは、国際問題に対する国連の取り組みに関する論述を求める問題が出題されます。合格点は受験者の得点分布を考慮して受験回ごとに決められ、最近の数年度の合格点は62-68点の間に分布しています。

 

時間は120分あるものの、ライティングに20分割くことを前提とすれば、100分で80問を解答しなければなりません。IIの長文読解には15分はかかりますし、語彙・文法問題も短文で出されるものよりも長文中に付されたものの方が多いため、一問一問の解答には相応に時間がかかります。形式や解答に要する時間は違えど、試験を通じて5題(セクションII、IV、V、VII、VIII)の長文を読む必要がある中で、タイムマネジメントは非常に重要な要素となります。

 

合格率は公表されていませんが、申込時にもらえるA4両面1枚のデータ集によると、英検1級保持者の合格率が一次試験で20%程度、二次試験で10%程度となっていました。二次試験まで合格するには英検1級合格者の上位10%の位置にいる必要がありそうです。全体の合格率はこれより少し低いと推察されますが、国連英検特A級の受験者は先に英検1級を取得している人が多いでしょうから、英検1級保持者の合格率を頭に入れておけば十分かと思います。今の英検ではCSEスコアの都道府県内における順位が出ますので、そちらで英検1級合格者の中の自分の位置を確認することができます。

 

 各セクション概要

今回は総合編ということで、大問I- IXの各セクションの内容と特徴について大まかに書いておこうと思います。これらのセクションの特徴について、受験テクニックの記述と併せて別途掘り下げていきたいと思います。各セクションの構成と特徴は、下記のようになっています。

 

I. 国連知識: 『わかりやすい国連の活動と知識』の中から出題される国連知識を問う問題。国連機関の所在地・設立年・目的、世銀グループ機関の概要、重光外相の国連演説の内容など。過去問で出題された問題が選択肢を変えるなどして複数回使用される。テキストの通読は一度はした方が良いが、問題の形式は決まっているため、過去問を数多く解いた方が効率的

  

II. 長文読解: 純粋な長文読解問題。各段落の要約、前置詞ofの用法、パラグラフ構成の分類など。文章自体は難しく、読み解くのに時間がかかるが、精読すればどの問題も根拠を見つけられるように作られている。他のセクションをできるだけ短時間で終わらせ、ある程度の時間をII.に充てることができれば、正答率は上がる

 

III. 文法: 純粋な文法問題。2-3文で構成される文章の中から誤りのある語句を選択。動詞の形、可算・不可算名詞の選択、定型句の判別など

 

IV. 動詞の形: 長文の中の指定された動詞の形を問う問題。動詞の原型が書かれた問題を前後の文から推測して変化させる。現在・未来・過去・過去分詞、不定詞、動名詞など

 

V. 語彙: 長文の中に入っている語句の意味または単語の同義語を問う問題。文脈の中で意味を定義づけている問題が多い。2018年度第2回の選択肢に登場した単語はpetrify、egalitalian、allure、tenaciousなど

 

VI. 語彙と文脈理解:1-2文の中に空欄が二箇所あり、埋めるべき単語のペアを選択する問題。同義語が複数入っており、意味の理解だけでは絞り込みが難しいため、前後の単語とのcollocationを覚えておく必要あり。各設問が独立しているため、隙間時間などに勉強することが可能。2018年度第2回の選択肢に登場した単語はaggravate、dismal、rebuke、beckon、altercate、disseminateなど

 

VII. 語彙と読解: 長文の中に入っている単語の意味を前後の文脈から推測して選択する問題。原文の単語は平易だが、前後の文から単語の意味を推測する作業にある程度の時間を要する。2018年第2回の選択肢に登場した単語はostensible、exasparate、abhorrentなど

 

VIII. 読解と語彙:長文を読んで理解した上で適切な語句を選択。文脈から正解を推測する必要があることから読解力も求められ、解答に時間を要する。正答率が非常に得にくいセクション。2018年度第2回の選択肢に登場した語句はpathology、hollow out、entrench、immisarationなど

 

IX. ライティング:国連知識を前提に200-250語の文章を記述。I-VIIIの解答に相応の時間を要するため、20分以内に書き上げることが望ましい。国連知識を用いて国際問題への国連の対応方法を書くという問題の傾向は一貫しているため、過去問を題材に記述する練習を繰り返せば、効率的に内容の伴った論述を行うことは可能。2018年度第2回試験の問題は、食糧安全保障における国連の役割

 

一次試験対策

一次試験対策は、過去問を時間を計りながら数多く解くことに尽きると考えています。国連英検TOEIC実用英語技能検定と違って教材が非常に少なく、国連協会の公式教材以外に頼るものがほとんどありません。また、語彙問題や文法問題の多くが長文の文脈から読み取る形式で出題されるため、単語や文法に特化した書籍を用いて個別に勉強することも難しいです。特殊な問題を時間内に解けるようになるために、過去問の解答と復習を徹底することをお勧めします。

 

過去問を通じた対策として、自分は申込時にもらえる前回分の本試験の冊子と、国連英検特A級2015-2016年度過去問題集、国連英検特A級2013-14年度過去問題集、国連英検特A級・A級2013年度版過去問題集(内容は2012年度の特A級・A級の過去問)、国連英検公式ガイドブックを1回ずつ時間を計って解きました。これらを用いて合計12回分の過去問を解くことができました。過去問を解いて分かったこととして、国連知識問題の出題に規則性がある、文法問題の一部は選択肢を含めて全く同じ問題が出る、語彙問題の選択肢に登場する単語の一定数は過去問の選択肢にも頻繁に登場する、といった点があります。過去問を多数解くことで、得点率を高めるとともに既出問題に素早く答えて時間を節約することもできるため、ベースとなる英語の読解力、文法力、語彙力を高めること以上の効果が得られます。

 

また、一次試験の問題はI、II-VIII、IXで内容が大きく異なるため、個別の対策が必要です。対策はそれぞれ下記のように行うことをお勧めします。

 

Iの国連知識は全て『わかりやすい国連の活動と知識』という指定テキストから出題されます。テキストの分量は多いですが、問題形式はパターン化されていて、過去問と同じ形式の問題が多数出るため、過去問をこなせば満点を確保できるようになります。逆にテキスト本文を読み込み過ぎると、出題されない箇所の通読に多くの時間を割くことになるため、1-2回通読して全体像を掴んだら、要点をまとめたメモなどを直前に見るに留めるなど、割り切った対応をすることが望ましいです。

 

II- VIIIは、純粋な文法、語彙の問題が前半に一定数あるものの、長文の中に散りばめられた文法、語彙問題を前後の文脈から読み解く問題が後半に多く存在するため、長文読解力が必要とされる場面が多くあります。また、英検1級よりもさらに難しい語彙が多数登場するため、高度な語彙力も必要です。時間内に一定以上の正答数を得るためには過去問を時間を計って多数解くことが重要です。過去問を解くことで頻出の文法問題や単語を覚えることもでき、前述のように既出問題の記憶を通じた正答率の向上と時間の節約を図ることに繋がります。

 

IXのライティングは、国連知識をベースに書く必要のある問題が出るため、Iのために使用するテキストの内容をある程度覚えておく必要があります。問題は多岐にわたり、完璧な準備をすることは難しいため、テキストである程度の背景知識を得たら、それらを駆使して解答に繋げるアプローチを訓練することが重要です。2018年度第2回の例で言えば、「食糧安全保障」と来たらすぐにFAO、WHO、WFPの3機関を思い浮かべ、各機関の機能の違いを意識しながら骨子をメモ書きで作成するといったプロセスを先ず踏みます。これを2-3分でできれば、17-18分を使って本文の論述を行い、20分で文章を完成させるができます。

 

一次試験を突破するためには、Iと IXの得点をある程度計算できるレベルに持って行っておくことが重要です。Iは10点、 IXは12点が目安になります。残りの70問で45点前後を取り、合格点に持っていくイメージです。

 

Iは覚えれば即得点に結びつくことから費用対効果が高く、合格点を取る上で最も重要なセクションと言えます。英語の得意な人がぶっつけ本番で受けてみたものの不合格という投稿をネット上で時々見ますが、ここが3点だったというケースもありました。仮に10点だったとしたら余裕で合格点を超えていたりします。時間をかけて準備する心構えのある人は、Iに時間を割くことが得策だと思います。他のセクションは語彙力や読解力が複合的に問われるため、勉強が得点の向上に結びつきにくいですが、Iだけは時間を割けば他の受験者と明確に差を付けることができます。

 

IXは、テキストを通読することによって得た大まかな知識を使えば、ある程度問題に対応できるようになります。高得点を狙うのは難しく、合格者の得点の多くは12点程度ですが、不合格者でも最低9点程度は取っているため得点がぶれにくく、対策をきちんとすれば確実に6割前後を取ることができます。総合で76点を取った優秀な受験者の特典も13点でしたので、平均的な合格者と高得点者の得点差もつきにくいセクションです。120分の試験時間の中で IXに割ける時間は20分程度だと思いますので、過去問を20分以内に解答する練習を複数回行うと良いと思います。

 

以上が一次試験全体の概要と、自分自身の考える効果的な対策方法でした。次回以降は一次試験の各セクションについて細かく書いていきます。